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鍵っ子もいろいろと思うことがあるんです
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満を持して先行PV第4弾「LastSmile」が公開です!!
これが公式から配信される最後の先行PVですね。1~3弾が非常に激しいテンポだったのに対し今回のこの「Last Smile」は綺麗なバラード曲です。やなぎなぎさんと言えば自分はバラード曲が挙げられるんですが、やはり澄んだ声がよく耳まで突き抜けますね。あとこの「LastSmile」が現在公開されている曲の中で最もPVが映えるな、と感じました。もちろん歌詞だけを真摯に読み取ろうと曲だけを聴くのもすごく魅力的ではあるんですが、是非PVを観てもっとLoveSongの世界観に入り込んでいただけるといいなと思います。
今回は歌詞がストレートなので「Killer Song」の様に説明描写が多いです。それでも彼らの恋を綴ったこのLoveSongにも、確かな麻枝准からのメッセージが込められています。今回はこの「Last Smile」の歌詞について考察・解釈をしていきたいと思います。是非「Last Smile」を聴きながら読んでください。

「終わりの惑星のLoveSong」であることを念頭に入れる

個々の曲に強い完結性があることは前回の曲で紹介しましたが、やはり「終わりの惑星のLoveSong」の大きな枠組みの一つであることを念頭に入れておくことは大切です。歌詞に違和感を覚える事が多々ありますがそれはこの「終わりの惑星」における独特の世界観故でしょう。それらについてまずは考えていきましょう。歌詞を挙げて説明します。



昔は熱意のある研究者で
子供たちのため世界を治そうとした



まずは根幹となるこの歌詞です。登場する少女は昔熱意ある研究者でした。そして世界の子供たちのために「世界」を治そうとするんです。この歌詞に違和感を感じはしなかったでしょうか。「世界」を治すというのはどういうことなのでしょう。そして少し遡ったところでもう一つ確認します。



間には透明な壁
悪い菌に満ちてる
誰とも触れあうことできない



少女は「世界」を治すための研究を熱心に行った結果、自らの研究の途中で「悪い菌」に犯され誰とも触れあうことができなくなった、と考えるのが妥当ではないでしょうか。では彼女が命を削ってまでしたその研究内容は何だったのか。それは恐らくこの物語の舞台である「終わりの惑星」なのではないでしょうか。つまり「終わりの惑星」は人々の研究対象となり人々の周知の惑星であったことが分かります。そして同時に「人間が住むことの出来ない腐敗した惑星」こそが「終わりの惑星」であることが分かります。自分はこの「Last Smile」を聴いてRewrite作品における此花ルチアを連想しました。彼女は自らが「地球の終わり」を迎えた後の終末世代と成る偉大な役割を得たのと同時に現代において人間として生きる資格を失いました。その「腐敗した地球」こそが「終わりの惑星」ではないかと考えます。

無力な「僕」が感じる厚い「透明な壁」と薄い「ガラス」

物語は「僕」の視点で始まり、終わります。これは今までの3曲との相違点として挙げられますね。青年は「悪い菌」に犯されて誰とも触れる事の出来ない少女に対して必死な慰めを投げかけるんです。今まで子供たちを想って生涯を投じた研究が叶わない少女に対して。その時青年はこの少女に言葉を掛けることに一種の怯えを感じていると自分は感じました。夢を失った少女が自分の何気ない同情で苦しめてしまうのではないか、憤慨させてしまうのではないか、嫌われてしまうのではないかと。歌詞の冒頭を確認しましょう。



きみを見てた
じっと見てた
そのきみに触れたい



これは青年の心の言葉ですね。この「じっと見てた」が自分にはこの冒頭で一番苦しい言葉に聞こえました。この一言が青年の少女に対する前述の怯えを象徴しているのですから。言葉を掛けてあげられない青年はじっと見つめているだけなんです。青年に少女が研究の夢を失った悲しみをすべて理解することは絶対にできないでしょう。青年は少女と共に研究していたわけではなく、少女の研究内容を「何もわからない」し聞いても「何もしてやれない」んですから。



でも僕の頭は痛くなるばかりで
何もわからない
何もしてやれない



青年は少女の隣にいるようで、ずっと遠くにいるんです。普通の青年と偉大な研究者では社会で釣り合った関係とは言えません。だからこそ「透明の壁」と表現されているんです。この青年と少女とを隔てる壁は二つ存在します。「透明な壁」と「ガラス」です。この二つは我々が見ても透明なガラスにしか見えないんでしょう。しかし青年の目には確かにこの二つはまったく違うものに見えるんです。序盤に登場するこの「透明な壁」は少女に言葉を掛ける事に怯えを感じ、好きだった少女の研究内容ですらまともに理解してあげられない無力な自分を情けないんだと感じ、ガラス越しに隣に座り、彼女に世界中で一番近くにいるはずの自分が実は少女からずっと遠い存在だったことを寂しく、そして悲しんでいる、そんな彼のこの気持ちを表現しているんです。



間には透明な壁



でも、少女だってそんな彼の必死な慰めが伝わっていないわけではないでしょう。彼らは互いを愛していたんですから。だからこそ少女は彼に言葉を投げかけるんです。ガラス越しに「ありがとう」と。



もう自分にできることはないとよくきみは泣く

でもありがとうときみは
言ってくれたんだ笑顔で
もう難しい話はなしで話そう



少女はずっと泣いていました。自らが生涯を投じた研究を断念しなくてはならないことを悔やんで。何より世界を治し子供たちを救うんだと決意した自分の信念をねじ曲げられてしまったことを悲しんで。きっとそんな少女に失望した様々な人が彼女の元を去って行ってしまったのでしょう。それでも、青年だけは少女の元へと残ってくれました。無力な自分を自覚しながらもたくさんの慰めをくれました。だからこそ、すべてを失ってしまったからこそ、たった一つの宝物だった青年を大切にしたいんだと心から想うんです。彼らのLoveSongはこの「ありがとう」の一言から始まったんだと思います。



それからのふたりは
ひたすら他愛ない話をし続けた
ガラス越しに



それからの彼らは本当に他愛のない関係を築き始めます。少女は偉大な研究者という役柄を捨て一人の普通の少女として、普通の青年と他愛ない恋を始めるんです。このとき青年と少女の間にあった大きな壁は消えたんです。あるのはたった一枚のガラスだけ。でも、これまでを一緒に生きてきた彼らにこれまで感じていた「透明な壁」に比べれば薄いガラスなどあってないようなものなのでしょう。遠くにいる彼女をじっと見つめているだけでなく、彼女の隣に立って共に歩き出せるようになったんですから。この触れあえた瞬間こそが彼らの他愛ない恋の始まりだったんです。そしてそれはほんのわずかな遺された彼女の寿命と共に終わってしまいます。それでもきっと最後の瞬間は笑顔で青年の元に。青年だって、ぐしゃぐしゃでありがらも綺麗な笑顔でさよならを告げたのではないかと感じます。そしてこんな他愛ない恋を取り柄のない自分くれて「ありがとう」と。



触れあうことなくても確かに触れあってたよ
笑って過ごしたきみのさいごまで



かの偉人を連想させる彼女の死と青年のその後

彼女の自らの研究対象によって死んでしまうことは、とある偉人の生涯をどことなく連想させます。そうですね野口英世さんです。子供たちのために投じている点も合致しています。もちろん彼女が研究していたのは恐らく「終わりの惑星」についてであって黄熱病ではありませんが、もしこの野英世氏の人生の踏襲であったとしたなら、彼女の死後青年はどうしたのでしょう。
英世氏の死後妻のメリーは彼が遺した年金でひっそり暮らして死にました。そして英世の故郷の人たちの依頼に応じて遺品をすべて記念館へと寄贈し、英世の遺志を継いで、研究成果を伝え続け、ウッドローン墓地で英世と共に今も眠っています。
青年は少女の研究を聞いても「何もわからない」ままで「何もしてやれない」と嘆いてはいますが、「代わりに何かできないか」と少女の研究を最後まで知ろうとしました。何なのかもわからない複雑な分子構図を頭に描きながら。



暇見つけ研究内容聞いてみた
代わりに何かできないかと思って



そしてその研究を知ろうと努力する姿勢が、恋する相手のことをもっと知ろうと、趣味や理想に合わせようとするどこかの世界の少女の姿を連想させますね。研究内容を知ろうとした青年のその姿も同様に一途に少女に恋をする普通の男の子に見えました。きっと少女も、そんな青年の姿に恋をしていたんだと思います。



小さな時からなんでも知っていて
きみの趣味 その理想に合わせようとした



少女はよく泣いていた、ときっと青年も少女のことを誰かに聞かれたらこう答えるでしょう。…いやちょっと違いますね。「良く泣いてたけど、よく笑ってた。他愛ない話で」といったところでしょうか。「もう自分にできることはない」んだと少女は言います。確かに自ら研究を断念することになってしまい、為す術もなくなってしまったのかもしれません。でも青年には、それを後世にずっと伝えてあげる事が出来るんです。少女が子供たちのためにと胸にずっと抱いてきた信念を、成し遂げようと生涯を投じた研究の内容を、そして多大の失望の中懸命な笑顔で生き続けたことを。かの英世氏の妻メリーを踏襲し、きっと青年も少女のために何かを遺そうとしたでしょう。それが他愛ない恋をくれた少女の最期の笑顔に応える何にも代え難い恩返しなのですから。
曲の最後にたくさんの子供たちを少女が引き連れる映像がありましたが、あれはもしかしたら青年が後世へと少女の研究内容を遺し、その研究が遠くない未来で実を結んだことを仄めかしているのではないでしょうか。だとしたらこのLoveSongは彼らの恋が、一人の偉大な研究者を愛した無力な青年が、そして一人の死にゆく少女が最期に遺した笑顔がすべて繋がり、もしかしたら涙に暮れていたかもしれない子供たちの最期を笑顔へと変えることができた温かな物語なのかもしれません。



もう自分にできることはないとよくきみは泣く

笑って過ごしたきみのさいごまで



「Last Smile」について想った事を書いていきましたが、描きながら彼らの恋をずっと想って泣いてしまいました。聴けば聴くほどメロディーが心地いい良曲になることで麻枝准の曲は有名ですが、それはメロディーだけでなく歌詞についても同じことが言えるかと思います。彼の歌詞は説明描写が多く変調の多いものがありますが、それだけに想像力を掻き立てる何かを秘めていると感じます。明日は夢の殺伐ラジオが再開されるようなので必聴ですよ。

確かに触れあっていたよ


【2012/03/22 22:06】 | 終わりの惑星のLoveSong
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2015/08/26(Wed) 06:10 |   |  #[ 編集]
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